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医療法人誠恵会のなか内科

症状別疾患

子供の下痢・血便 (子供の急性胃腸炎) / 消化器系疾患

初めに

子供は食べすぎや、アイスクリーム、冷たいジュースなどを好むため下痢が続くことがよくあります。しかし、ウイルス感染や細菌感染による下痢もあり、適切な治療が必要となります。日本には統計がありませんが、アメリカでは感染による下痢で年間150万院が医療機関を受診して20万院が入院し、300人が亡くなっております。近年の日本ではウイルス感染や細菌感染による下痢は、年間を通して認められてきており、特に持病をお持ちの子供には早めの対応が必要です。

急性胃腸炎とは

いわゆる下痢症を医学的には急性胃腸炎といい、嘔気、腹痛、下痢などの胃腸症状が出現する一過性の疾患をいいます。その原因の約70%をウイルス感染、約15%を細菌感染が占めており、それらを特に感染性胃腸炎と分類します。

子供の急性胃腸炎の原因

約70%がウイルス性であり、ロタウイルスやノロウイルス、アデノウイルスによるものなどで、以前は冬に多く認めましたが近年では1年中認められるようになりました。約15%が細菌性であり、いわゆる食中毒です。食べ物が傷みやすくなる梅雨時から夏場に多く認められます。その他、アレルギー性やストレス性、薬剤の副作用などもあります。

 

ロタウイルス

口から入り、小腸で増えて下痢を起こし脱水症状に陥ります。ほとんどが1歳前後から2歳以下で1割の子供が入院が必要なほど重篤となります。全世界では年間で60-80万人がロタウイルス感染で死亡しております。感染ルートは便や吐物からで、家具や玩具、タオルなどに触れ、ウイルスは10日ほどその場で生息します。アルコール消毒は効果がなく流水でよく手洗いをしてください。また生ワクチンを接種することが大切です。

 

ノロウイルス

ロタウイルスに比べて症状は比較的軽く、2日程度で改善します。ノロウイルスは感染力が強く、乾燥状態でも60日間ほど生息し続けるため集団感染や大流行をすることが少なくありません。かきなどの貝類に濃縮せれていることが多いので注意が必要です。アルコールではウイルスは死滅しないため、次亜塩素酸ナトリウムや熱湯で消毒します。

 

細菌性胃腸炎

食中毒と同じ意味で使われます。原因菌としてサルモネラ菌が最も多く、腸炎ビブリオ、大腸菌、キャンピロバクター、ブドウ球菌などがあります。ブドウ球菌は生卵から、キャンピロバクターは牛肉から多く感染します。また、1歳未満の赤ちゃんにはボツリヌス菌感染を予防するためにはちみつは食べさせないでください。

 

腸管出血性大腸菌(O157)

水溶性の下痢から始まり、5日ほどで血便が出現します。また強い腹痛も伴います。ほとんどが改善しますが、10%は腎不全をきたし1-2%がけいれんを起こします。致死率は約5%といわれております。感染源は焼肉、ユッケ、レバ刺し、汚染された牛乳や野菜や果物などがあります。ただし、O157は熱に弱いため75℃で1分以上加熱すれば死滅します。

 

 

子供の急性胃腸炎の症状

ウイルス性胃腸炎の多くは、水溶性下痢で血便を伴うことはあまりありません。嘔吐や発熱、食欲低下なども認められます。また、ロタウイルスでは白色の下痢便、ノロウイルスでは下痢より嘔吐が先行するなどの特徴があります。またウイルス性では、咳嗽や咽頭痛などの呼吸器症状が伴うこともすくなくありません。細菌性胃腸炎は腹痛や高熱、下痢と血便が出ることもあり、入院を要することも少なくありません。

子供の急性胃腸炎の診断

まずは診察し全身状態を把握します。ご家族からの問診が重要で、多くは問診で診断するため検査は必須ではありません。その他、上記の症状とそれぞれのウイルスなどの特徴的や、全国的な流行状況や、学校や幼稚園などの周囲の流行状況が診断に有用です。

 

子供の急性胃腸炎の治療

ウイルス性胃腸炎の場合は有効な薬剤がないため、対症療法となります。細菌性胃腸炎も対症療法が一般的ですが、状況に応じて抗生物質で加療します。

いずれの胃腸炎も脱水の補正が最重要であり、水分と栄養を摂取します。食事は、脂肪や糖質が多いものは避けて下さい。お粥や素うどんは消化もよく水分も含むためお勧めです。その他に脂肪の少ない肉や魚、軟らかく煮た野菜、バナナやすり下ろしたリンゴ、果物の缶詰もお勧めです。

また、下痢や嘔吐からは電解質も喪失するため、ミネラルが豊富な麦茶や経口補水液が望ましいです。スポーツドリンクはミネラルが豊富ですが糖質も多いため下痢が治りにくくなることもあります。もしスポーツドリンクを摂取する場合は水で半分程度に割るとより良いと思います。

特に赤ちゃんは体の約70%が水分のため、脱水が起こるとあっという間に循環不全になってしまいます。大人の水分は体の約40%のため、赤ちゃんや小さなお子さんは特に脱水に注意する必要があります。

まとめ

急性胃腸炎は誰でも経験があり、赤ちゃんからご高齢の方まで罹患する疾患です。治療の基本は、脱水の補正で、投薬は整腸剤が一般的です。

制吐剤や下痢止めは、ウイルスや細菌の排泄を遅らせるため全身状態によって使用するかを判断致します。特に、赤ちゃんや高齢者では脱水傾向に陥りやすいため、十分な経過観察が必要です。

当院でも脱水が明らかな大人の方には点滴による脱水補正を行い十分な経過観察と治療を行っております。もし経口摂取が困難な場合は入院を検討します。しかし、当院には子供用の点滴がないため経口摂取が困難なお子様はかかりつけの小児科医に必ず受診をお願いいたします。

また、子供の血便の多くは急性胃腸炎ですが、腸重積や潰瘍性大腸炎などの病気が隠れていることもあるため、血便を伴う場合にも必ずかかりつけの小児科医を受診されることが重要です。経口摂取が可能で脱水を伴わない急性胃腸炎や下痢症は当院でも診察しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

のなか内科 院長 野中 雅也

のなか内科について

のなか内科は、埼玉県さいたま市大宮区(旧大宮市)に野中医院として開院し、野中病院を経て今年で78年目となります。今後もさいたま市や大宮区の地域医療を担っていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
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